担保調査の手順
2019年3月29日担保不動産の調査は、主につぎの手順で行います。
①対象不動産を確定する
②必要資料の収集と各種調査を行う
③価格水準を把握する
④現地調査に赴く
今回採りあげるのは、①対象不動産の確定についてです。担保調査の手順のなかでも特に重要であり、これを疎かにすると後々問題が生じる可能性がありますので、要点を押さえておく必要があります。
(1)不動産の所有権の確認
調査を始める前に、融資申込人に、まず、どの不動産(土地や建物)について担保提供意思があるのかということを確認する必要があります。そして、その不動産を本当に所有しているのかどうか、すなわち対象不動産の所有権を確認することが必要です。確認方法は「登記済証(権利証)」「登記情報」「課税明細書」などにより行います。 また、物上保証人がいる場合は、物上保証人本人の担保提供意思確認と所有権の確認が必要となります。物上保証人とは、他人の債務を保証するために、不動産などの自分の財産に抵当権等を設定した者のことをいいます。
(2)確認の際の注意点
担保提供の意思確認や所有権の確認をする際の注意点はつぎのとおりです。
① 建物に関する注意点
土地上に建物があると、その建物がどんなにボロボロであっても、その建物に権利が発生し、土地の価値が下がってしまう場合があります。したがって、対象の土地上に建物がある場合は、必ず土地と一緒に担保徴求をするようにします。なぜなら、後述するように、法定地上権などの問題が発生する可能性があるからです。 また、建物が登記されていない場合もあるので、担保設定をする際は、登記をしてもらう必要があります。
② 所有者などに意思確認をする際の注意点
融資申込人に「土地を持っている」と言われても、実は貸地になっていたり、借地であったりすることもあります。また、「建物はボロボロだから価値がない」と言われても、前述のようにその建物に権利が発生してしまうことがあります。 性悪説に立つわけではありませんが、人間は往々にして勘違いや記憶違いをしており、また、物事を勝手に決めつける傾向があります。したがって、必ず担当者自身で確認作業をし、一つひとつ裏づけを取っていくことが必要でしょう。これは、所有者を信用しないということではなく、事実関係をしっかり確認し、どの不動産に抵当権を設定するかということをお互いに確認し合い、後々の無用なトラブルを防ぐために必要なことです。そして、調査する自分たちについても、勝手な思い込みがないか、あるいはよく確認せずに「~だろう」とか「~に違いない」などと曖昧にしていることはないか、注意することが必要です。 このような作業は、相手の財産の状況を細かく聞き出すことにもなるので、お互いにあまり喜んでできるようなことではないのですが、後々、債務者区分が悪化し、さらに債務者との関係も悪化したりすると、担保不動産に関する資料の徴求等が困難になってしまいます。そのようなことにならないよう、当初の段階でしっかりと実行しておくことが大切です。