必要資料の収集(事前調査)
2019年4月1日不動産の調査にあたっては、現地に行く前に、対象不動産について、事前に入手可能な資料を用いて様々な角度から調査します。事前調査により対象不動産のイメージを掴むとともに、現地調査をスムーズに行うことができます。 また、現地に行ったときの実際の感覚と、事前にもっていたイメージとの違い、すなわち、現地でなければ感じ取れない情報がよりはっきりと認識できるようになります。 事前調査には、主につぎのものがあります。 (1)法務局調査 (2)役所調査 (3)所有者から入手する資料による調査
(1)法務局調査
法務局調査では、権利関係等の調査を行います。現在はインターネットで全部事項証明書や公図等を取得できるので、それで済む場合もありますが、実際に法務局に赴き、公図等を確認しながら調査する場合もあります。 法務局調査で収集する資料には、主につぎのものがあります。 ①不動産登記情報(全部事項証明書) ②地図情報(地図、または地図に準ずる図面) ③図面情報(土地所在図・地積測量図、建物図面/各階平面図、地役権図面) これらの資料はインターネットで取得が可能で、PDFにて閲覧・ダウンロードすることができます。ダウンロードした全部事項証明書は「ネット謄本」とも呼ばれており、費用も安く済みます。
①不動産登記情報(全部事項証明)
不動産登記情報(全部事項証明書)について、土地の表題部では「所在」「地番」「地目」「地積」を、建物の表題部では「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」「建築年月日」「付属建物」を確認することができます。 ここで、全部事項証明書に記載されている住所の表記は「住居表示」ではなく「地番」で表記されています。インターネット上の地図や市販の地図などは、一般的に「住居表示」で表記されていますので、「地番」と異なることに注意してください。住居表示未実施区域でも、地図上の「地番」と登記上の「地番」の位置が異なっていることがあるため、対象不動産の物理的位置の特定は慎重に行いましょう。 権利部(甲区)では、所有者を確認します。現在の所有者だけでなく、過去からの所有者の経緯(権利移転の状況)も確認できます。 権利部(乙区)では、抵当権、根抵当権、賃借権等の所有権以外の権利を確認することができます。 また、共同抵当権が設定されている場合、個々の目的不動産の登記に、これと共同抵当関係に立つ他の不動産が存在する旨が記職されるとともに、共同担保目録(以下、「共担」という)が作成されます。共担は、対象不動産の確定や担保徴求漏れをチェックするときにも使います。
②地図情報(地図、または地図に準ずる図面)
不動産登記法14条の図面(以下、「法14条地図」)では、対象地の位置、形状等が確認できます。公図は「地図に準ずる図面」として扱われており、法14条地図と比べて正確性に劣るため、概ねの確認ということになります。 法14条地図は、地籍調査の結果が反映されているので正確ですが、公図は地域によっては「公図錯綜地区」といい、現況とまったく異なる状況が記載されている場合もあります。
③図面情報(地積測量図、建物図面/各階平面図等)
地積測量図は、対象地の実測図であり、形状や面積の確認ができます。ただし、すべての地番に地積測量図があるわけではありません。また、稀に登記面積と異なっていることがあるので、地積測量図がある場合は、必ず登記面積との照合を行いましよう。 建物図面/各階平面図は、土地上の建物の配置、建物全体の形状、各階の形状が確認でき、未登記の増改築や未登記建物の確認にも使います。事前に入手した建物図面で対象建物の形状をしっかりと掴み、現地調査に臨みましよう。