なぜ金融機関は不動産を担保に取るのか?

金融機関は、通常、企業や個人から余剰資金を集め、それを原資として資金が不足している企業や個人に融資を行います。融資時には安全性や合法性等の観点から審査し融資を実行するわけですが、企業であれば不況、個人であれば失職等により返済が滞る場合があります。

金融機関は、このような場合でも貸出債権が確実に回収できるようにするため債権保全を図るわけですが、この債権保全手段として「担保」があるわけです。

担保は通常、「物的担保」と「人的担保(保証)」に分かれ、物的担保はさらに「不動産担保」「動産担保」等に区分されます。

不動産担保は、土地・建物のほか、工場財団等の各種財団があります。

不動産担保の取得方法として、現在は抵当権や根抵当権が利用されています。

抵当権というのは、債権者が一定のものを担保として取るが、債権者がそのものを取り上げずに、持ち主や担保として提供した第三者(物上保証人)に使わせておき、貸したお金を返してもらえないときに、この担保に取ったものを金銭に換え、そこから他の債権者よりも先に債務を取り立てることができる権利です。

担保物権は質権と同じように、お互いの契約によって設けられるものですが、物を担保に取った抵当権者が、そのものを自分の手元に置かずに持ち主にそのまま使わせておくという点で質権と異なります。

抵当権の制度は、お金を借りた者がそのまま担保に提供したものを使って利益を上げられるので、工場などの生産設備などを担保にしてお金を借りるには極めて便利であり、資本主義の発展に伴って急速に発達しました。

ただ、こうした便利な制度も、担保となるものを債務者の手元に残しておくため、抵当権があるということを誰にでもはっきりわかるようにしておかなければ、担保制度としての意味を全くなさなくなります。

そこで、抵当権の存在を一般に示す制度、つまり登記ができるものでなければ抵当権を設定することもできないわけで、結局、抵当権の目的となるのは不動産が主なものとならざるを得ないわけです。

抵当権の第三者への対抗要件は、不動産登記法による登記がなされていることです(民法177条)。また、複数の債権の担保のために同じ不動産について複数の抵当権を設定したときは、優先弁済を受ける順序は登記の前後により決まります(民法373条)。